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パフューム ある人殺しの物語

Posted: 10月 10th, 2008 | Filed under: サスペンス

その香りに世界はひれ伏す。


18世紀のフランス。
まだ下水道などの整備もされていないパリの街の悪臭立ちこめる魚市場で一人の赤ん坊が産み落とされる。

名前はジャン=バティスト・グルヌイユ。
親の愛も、名前さえ知らない彼に与えられた唯一の特技、それはあらゆるものを嗅ぎ分ける嗅覚だった。

青年へと成長したグルヌイユは、街中で見かけた少女の芳しき臭いの虜になった。しかし、グルヌイユは誤ってこの少女を死なせてしまう。
グルヌイユは自分の行いに戸惑いながらも、少女の臭いを保存し、いつでも嗅ぐことができるようにしたいと思う。

そして、パリの調合師に弟子入りし、非凡な才能を発揮して人々を魅了する香水を造り出す。しかし、それは彼の求める香水ではなかった。

彼が求めたものは、少女の芳しき香りだ。
グルヌイユは、この少女の香りを閉じ込め、永遠に保存する術を得るべく、グラースといわれる香りの聖地を目指す。

そこで実験に実験を重ねた結果、ついに究極の香水を造り出すことに成功する。しかし、その代償として行われたことは世界を震撼させる連続殺人だった_________。





自らの存在を知らしめることのできる体臭を持たないグルヌイユ。
彼は当初の目的であった、あのパリの街角で知った少女の香りを閉じ込めるということから、自らの存在を世に知らしめることに変更した後、人を殺すことさえ「自分に必要なことだった」とその犯行を省みることをしなかった。

しかし、自分の造り出した、天使のような究極の香水により街の人々を魅了した瞬間、少女を殺(あや)めてしまったことを心から後悔し、少女の臭いを封じ込めることよりも、世に自分の存在を知らしめることよりも大切なことがあることに気づく。一人の女性を愛することが大切であると気づいたのだ。

そして、その後悔の念から、自分の造り出した、自分の存在を知らしめる香水によって、自分の生まれた場所で、自らをこの世から消し去ることを決意したのだった。


この作品から2つのメッセージを読み取ることができる。
ひとつは世に秀でる才能を持つ者は、世界を動かすことのできる力を持つこともできるが、その力により自分を陥れることもできるということ。
もうひとつは人は誰でも、物事に熱中し陶酔すると、善悪の区別を忘れて本能のままになる、ということ。

1985年にドイツで出版された原作小説は、世界45ヶ国、累計1500万部におよぶヒットを記録、スティーブン・スピルバーグやマーティン・スコセッシなど名監督が映画化を望んだが、ついにドイツの監督・トム・ティクヴァにより映画化が実現された。

映画で香りをいかに表現するか、という命題に挑んだ監督は「音で香りを奏でる」という試みのもと、サイモン・ラトル&ベルリン・フィルファーモニー・オーケストラに芳しい旋律を奏でることに成功した。

また、映像にも香りのエッセンスが放たれる。
悪臭漂う魚市場、皮なめし工房、パリの街並み、美しいプロヴァンスの農村地帯・・・

映像が香りを放つ、ということはこういうことをいうのだろう。

でも、カリスマやオタクって言われる人でも、ちょっと間違えば変態ってことがよ~くわかる。
そんな作品だ。


■Tips
・フランスで香水が造られた理由は、当時は入浴・シャワーを浴びるという習慣はなく、体を洗わないことによって放たれる体臭を誤魔化すため。
・当時、下水道整備はされておらず、街のいたるところに糞尿が捨てられていて悪臭が立ちこめていた。
・ハイヒールは道に捨てられた糞を踏むことを防ぐために発案され、当時は男もハイヒールを履いていた。
・ダスティン・ホフマンがパリの香水調合師に選ばれた理由は、彼の特徴的なワシ鼻が嗅覚が鋭いことをイメージさせるためだったとかじゃないとか。
・ラスト近くで、全裸の男女が交わるシーンは750人のエキストラ。
・日本公開2ヶ月前に畑の中に横たわる美しい女の死体を描いたチラシが映画館に配布されたが、刺激が強すぎると批判が相次いだ。
・日本公開数日前で、全裸の男女が交わるシーンが少しだけTVCMで流れたが、これも批判が殺到した。


出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン
監督:トム・ティクヴァ
パフューム ある人殺しの物語





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