ベオウルフ 呪われし勇者 beowulf
Posted: 10月 10th, 2008 | Filed under: アクション
永遠に続く、「男の哀しい性(さが)」
■ストーリー
舞台は古代デンマーク。
そこは怪物が闇躍する世界。
王国のどんな戦士たちでも適わなかった怪物を倒した、ベオウルフ。
海を越え、名を馳せたベオウルフの次なる獲物は、怪物の母親。
実はこれは罠だった。
美しき怪物の母親の誘惑に負け、王の座と富と賞賛とを引き換えに、怪物の母親を抱き、子を授けてしまう。
かくて、呪いは次の世代に受け継がれていく_。
■「英雄、色を好む」
英国文学最古の英雄叙事詩がもととなった本作品。
現代にも通じる寓話は、「繰り返される、男の哀しい習性」をモチーフとした映画だ。
尽きることのない莫大な富、栄誉、トップの座への欲望、そして肉欲。
これを引換えとして受けたものは、怪物の母親から受け継いだ「復讐」という「呪い」。
「呪い」を呪いだと気付かない人は、ある意味”幸せ”である。
しかし、ベオウルフは先代の王の「呪い」が解けた時点で、自らに「呪い」が掛けられたことに気付いてしまった。
それ以後のベオウルフは「王者」として振る舞うが、「呪い」を掛けられたことを察したがゆえの達観した行動であった。
現代で言えば、政略結婚みたいなもの。
しかし、トップに立つ者は、「一度死んだ気になって」目的を達成させるのである。
欲があり、それを求めて行動するからこそ、富と栄誉を受けることができるのだ。
「ギラギラするほどの欲望」を持たないと、男は生きてはいけないのである。
そして、歴史は繰り返す。
■驚異のVFX
VFXを多用しているので、驚異のアクションを披露してくれる。
通常のセット撮影ではありえないシーンも多い。
3D設備のある映画館では3D映像も楽しめるとあって、3Dを意識した映像もふんだんに盛り込んである。
驚異的なのが、アンジェリーナ・ジョリーやその他の人物がフルCGで描かれていること。
身体の至るところにデジタルセンサーをつけて動作を記録し、CGで描きなおす「パフォーマンス・キャプチャー」という技術を使用したという。
これは、ロバート・ゼメキスの前作「ポーラー・エクスプレス」で開発した技術。
そのリアルさは素晴らしいの一言。
ただ、アンジェリーナー・ジョリーの特徴であるタラコ唇は、CGでは控えめ。
肉薄で色なしの辛子明太子という感じ。。
なぜ、CGで描く必要があったかというと、それはアンジェリーナー・ジョリーが演じる怪物の母親がフルヌードで登場しているから。
もちろん、技術的な挑戦や話題作りという意味合いもある。
ただ、怪物達のCG描写にエネルギーが行き過ぎた分、その他のCG描写に陳腐な感じのする箇所がいくつかある点は否めない。
まぁ、叙事詩なので写実的に描く必要はないのかも知れないが。
出演:レイ・ウィンストン、アンジェリーナ・ジョリー、アンソニー・ホプキンス、ジョン・マルコビッチ、ロビン・ライト・ペン
監督:ロバート・ゼメキス
■ベオウルフ
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