瞳の奥の秘密 EL SECRETO DE SUS OJOS
Posted: 9月 1st, 2010 | Filed under: サスペンス
目は口ほどにモノを言う
■ストーリー
25年前、アルゼンチンのブエノスアイレスで発生した残虐な殺人事件を担当した裁判官は、当時のことを忘れることができないまま、刑事裁判官を引退することになった。事件を題材に小説を書きすすめるうち、当時の上司であった女性の存在も鮮やかに甦った。いまだ過去に囚われている元裁判官は、そんな自分と決別するために事件の謎と女性への想いに向き合うことを決意する・・・
■意表を突くラストとメッセージに驚愕
本作品は2009年、アルゼンチン・アカデミー賞を受賞、2010年の米国アカデミー賞 最優秀外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画である。解決したかに見えた事件の裏側に潜む事実を追うエピソードと、かつての女性上司への想いを断ちきれない元裁判官のエピソードが同時進行で進む。
ストーリーは個別に進むかに見えて、絡み合ってラストを迎える。
「緻密に練られた迷路のようなエンタテインメント!」とThe New Yorker紙が評したのも納得。
ミステリーのようであって、ラブストーリーでもある。政治メッセージを含む映画でもある。
そして、人間の哀しい性(さが)をも描き出す。
過去に囚われると先に進めない。しかし、その過去が強烈なことであればあるほど人間は忘れることはできない。そして、前に踏み出すことはできない。
■死刑制度反対の映画かも
見方によっては、死刑反対運動のような映画でもある。アルゼンチンには死刑制度はない。最高判決でも終身刑である。
新妻を殺された男は言う。
「犯人を死刑にはしない。自分のこの手で殺すこともしない。すれば奴は死ぬことによって解放され、自分が何十年も投獄されてしまう。犯人は終身刑となり、死ぬまで空虚な日々を送ることを望む」
死刑制度の是非を問う報道がなされている日本において、この映画が上映されることは死刑制度を考えることにとって、格好の素材かも知れない。
死刑制度は犯罪抑止力となっていると言う意見がある一方で、冤罪を考えると死刑制度はなくすべきという意見もある。被害者遺族の感情に照らし合わせて見れば、死をもって償わさせるべきという意見もある。終身刑となっても、刑期における態度によっては温情により刑期短縮ということもありうる。
本作品中でも、なかなか解決しない事件の犯罪者をデッチ上げようとする権力や、逮捕され終身刑となったにも関わらず釈放される犯罪者、それに納得できず行動を起こす被害者が描かれる。
とても考えさせられる作品だ。
■「瞳の奥の秘密」というタイトルの意味がわかった
「目は口ほどにモノを言う」との言葉通り、相手の目を見て真偽を計る場面がいくつも登場する。犯罪をデッチ上げられ、虐待によって自白を強要させられて投獄されそうになる青年の目、真犯人の目、元裁判員の目、女性上司の目、どれも、「瞳の奥で真実を語っていた」。
映像的な見どころは、犯人を追いつめるサッカースタジアムを上空から俯瞰し、グラウンドからスタンドにいる裁判員まで、場面が切り替わることなくスムーズに移動するカメラワークと、犯人がサッカースタジアム内を逃げ出す場面の、ほとんど画面が切り替わることなく動くカメラワーク。
・主演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、ギレルモ・フランチェラ
・監督:ファン・ホセ・カンパネラ
■瞳の奥の秘密 公式サイト



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