ツリー オブ ライフ / the Tree of Life
Posted: 8月 29th, 2011 | Filed under: ヒューマンドラマ
果てない喪失感と癒しの物語
■ストーリー
成功した実業家のジャックは人生の岐路に立ち、少年時代の回想をする。若いころに失った弟と家族との日々に思いを巡らせるうち、光を見出していく…■抽象的表現が多すぎてわかりにくいが・・・
監督はカンヌ国際映画祭監督賞「天国の日々」やベルリン国際映画祭金熊賞「シン・レッド・ライン」のテレンス・マリック。「伝説の映像作家」と呼ばれるだけあって、抒情的であるのだが、抽象的な表現も多い。
回想シーンと現在が何度も交互に登場したり、太古の昔、恐竜の時代から地球創世記をイメージした映像が何度も出てきて、正直イラッとさせられる。
だが、しばらく見て監督が何を訴えようとしているかがわかってくる。
人間はいつか死ぬ。新たに生まれる人に引き継いで。
そうやって何度も繰り返して現代に至った。
作品の冒頭、ナレーションが入る。
「人間はふたつのうち、いずれかの道を選ぶ
世俗に生きるか、神に委ねるかだ」
この世の中で、いわゆる「成功」を掴むためには世俗的に生きなければならない。
利己的となり、他人を支配する構造を作ることを良しとする。
成功した実業家の父は、力こそが全てだと信じる厳格な人物だった。
対して、母は純粋すぎるほどの慈愛に満ちていた。
少年期は厳格な父に反抗し、慈愛に満ちた母にさえ侮蔑の感情を抱くという、誰もが通り過ぎるような少年期特有の日々を送る。
そんな少年期に後悔しつつも、実業家は光を見いだす。
ラストで、すべてを許したかのように光のなかで母が手を差し伸べ、天へと解き放つのだ。
つまり、実業家にとっての母は聖母マリアの象徴であり、世俗に生きようともすべては神に委ねられるということをこの作品は伝えようとしているのである。
父は実業家に成功するためには世俗的に生きるべきということを教えた人物であり、世俗に生きて成功しても、人生の岐路に委ねるべきは神だと言っているのだ。
西洋の宗教観が作品全体を覆っている内容で、仏教徒が多い日本人にはわかりにくい作品かも知れない。
ただ、西洋の宗教思想を知るにはよい作品といえる。
・出演: ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン
・監督: テレンス・マリック
・カンヌ国際映画祭パルムドール受賞
■ツリー オブ ライフ公式


