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かぐや姫の物語

Posted: 11月 29th, 2013 | Filed under: アニメーション

鳥、虫、獣、草木、花

kaguyahime

「竹取物語」を原作とする、スタジオジブリのアニメ映画。
ホーホケキョ となりの山田くん や、火垂るの墓おもひでぽろぽろなど、スタジオジブリの作品群のなかでは異彩を放つ作品を創る、高畑勲監督による作品。

日本人ならば誰でも知っている「かぐや姫」の物語は、なぜ月からきて月へ帰って行くのかという疑問は大人になっても解けないままだった。

その疑問を、高畑勲監督なりの解釈で紐解いたものがこの作品だ。

この作品は製作に8年もかかったという。
背景と人物を一体に描き、線を細く、淡く、何枚にも絵を重ねて描くという、これまでと異なる技法を使用しているのだから、時間もかかる。

アニメーターとしての職人魂を見せつけられることもさることながら、高畑勲監督の死生観なりも伝わってくる。

監督個人の死生観が描かれているといっても、それを観る観客が日本人ならば、共感する部分も多いだろう。

それは、輪廻転生、極楽浄土、といった大和民族が持っているであろう宗教観や死生観だ。

本作品では、月の世界は不浄とは無縁の世界として描かれる。

対して、人間が住む地球は不浄の世界だ。
苦悩、喜び、哀しみ、怒り、恐れが渦巻く煩悩の世界だ。

ラスト近く、かぐや姫を月に迎えに来た菩薩の姿をした使いが言う。

「月に戻れば、このような苦悩をせずに済む。ここのような不浄の世界とは違う」

だが、かぐや姫はこう返すのだ。

「ここは不浄なんかじゃない」

苦悩、喜び、哀しみ、怒り、恐れが渦巻く煩悩の世界であっても、それこそが生きている証なのだ。

この作品は、高畑勲監督が伝える、いまを生きている人たちへのメッセージである。

つまり、「生きよ」と。

日本では、年間3万人近くも自殺する人がいる。

しかし、どんな悩みもそれは生きている証なのだから、それを受け入れて精一杯生きようと。

そして一生を全うすれば、極楽浄土に行けるのだと。

宮崎駿は引退宣言をしたが、高畑勲監督もすでに老境の域。
普通の社会人ではあれば、とっくに第一線を引退して隠居している年齢だ。

作品の製作意欲がまだあるのかは窺い知れないが、監督自身には、もうこの世には未練はないのかも知れない。

・声優: 朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子、立川志の輔
・音楽: 久石譲
・主題歌: 二階堂和美「いのちの記憶」
・監督: 高畑勲
かぐや姫の物語


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